独立行政法人 科学技術復興機構 - 研究領域「分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開」




プロジェクト紹介

研究の全体像

図1-O 研究スケジュール

 

将来、電力需要の大部分、例えば約75%を自然エネルギーで供給することが求められるであろう
補足1)。ソフトウェアの面から、それを可能とする分散最適制御アルゴリズムを開発し、実証することが、我々の目標である。この目標の実現のためのアプローチを次の3点に大別する。

(A)確率モデルに基づいた最適制御アルゴリズムの開発

自然エネルギーを大量導入した場合、電力供給の不足、同期発電機の過負荷、送電網の過電流などのリスクを、確率モデルに基づいて考える必要がある(補足2)。提案アルゴリズムの入力は許容できるリスクの上限値(たとえば年間に0.01%など)であり、出力はコストや温室効果ガス排出量を最小化する制御信号(各ノードの発電割り当て量や位相など)である。また、リスクが具現化した際も、他のサブシステムへ異常が連鎖的に波及し大規模停電に陥ることを防ぐ対故障性を備える必要がある。

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(B)大規模分散最適制御アルゴリズムの開発

分散的自然エネルギー発電機を所有する個人・法人が提案アルゴリズムを導入することにより、発電による自己の利益を最大化することができる。これは風車のピッチ角など発電機のパラメターと蓄電器の放充電スケジュールを最適化することで実現される。さらに、提案アルゴリズムにより個々が利己的意思決定を行った結果、電力網全体の安定性と最適性が達成される必要がある。

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(C)実システムを用いた実証実験

慶應義塾大学のキャンパス内に太陽光・風力発電機や小型同期発電機を備えた設備を構築し、アルゴリズムの実証実験を行う。

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分野横断型の研究体制

大森FS「再生可能エネルギーの大量導入を実現する社会的基盤技術の相互連携検討」

概要:再生可能エネルギーの大量導入を可能とする技術革新のコアとなるアルゴリズムの社会実装の為には、

 (1)長短期・広狭域の供給予測

 (2)経済・市場・人間行動を考慮した需要予測と制御

 (3)EMSのための情報ネットワーク運用技術

 (4)物理モデルシミュレータの開発

 (5)社会インフラ整備計画

が有機的融合をもって相互確立されていかなければならない。そのため、大森FSは、再生可能エネルギーの大量導入を真に実現させるべく、これら5つの社会的基盤技術の連携について、分野横断型の研究体制を整え相互検討を行う。

図2-1 大森FSの研究体制

図2-2 大森FSの研究項目